聖なる朝に風船を飛ばそう

二人で過ごす初めてのクリスマスの朝の話

 

 

 

 

意外にも先に目を覚ましたのはPiの方だった。

 

いや、意外ではないのかもしれない。

二人で過ごす初めてのクリスマスイブから翌朝までの計画を立てたのは全てMorkだったのだから。

 

Piが少しでも緊張しないように、ディナーに選んだレストランは広すぎず、狭すぎず絶妙に他の客からの視線を遮ってくれるようにテーブルも配置してあって、お陰で食事を心ゆくまで堪能することができた。

 

対してホテルは巨大な規模を誇り、この夜を過ごす人々、カップルだったり、家族連れで溢れていて、人目を気にする必要はなかった。

 

そして部屋で二人きりになった後のことは、まあ、語る必要もないか。

とにかく見るからに高級そうなシーツは素肌に触れてもとても心地よかったけれど、その感触は別の強くて深くて優しい快感にさっさとさらわれてしまったことは覚えている。

 

けれどPi専属のサンタクロースはやはり気を張っていたのだろう。

今はすやすやと朝の眠りの中。

 

高層階の窓に近づきPiは晴れた空を見上げる。

そこにはーーー

MorとPiがお互いの気持ちを本当に確かめあったあの日の風船が

色とりどりの花のようなそれらが

二人を祝福するように、労うように飛んでいく夢うつつの光景をPiは見た気がした。